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[食 Vol.31] − 豊後高田市 − / 岬ガザミ」

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− 豊後高田市 −

岬ガザミ

Vol.31
今回は、豊後高田市の特産品「岬ガザミ」をご紹介します。
豊後高田市は、国宝「富貴寺(ふきじ)」や国の重要文化財「熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)」、日本夕陽百選に選ばれた「真玉海岸(またまかいがん)」など、千年の時を越えて受け継がれてきた六郷満山文化やすばらしい自然に触れることができる町です。
また、昔懐かしい「昭和の町」は、現代の日本人が忘れてしまった大切な何かを思い出させてくれます。

いま、豊後高田市の香々地(かかぢ)地域では「岬ガザミ」が旬を迎えています。豊かな干潟が広がる遠浅の豊前海の中でも香々地地域は、ワタリガニの好漁場が多く、そこで水揚げされる大型のワタリガニを地元では「岬ガザミ」と呼んでいます。

岬ガザミ漁をしている漁師3代目の松原正隆(45歳)さんの愛船「漁福丸」に朝7時頃、同船させてもらいました。港から約4キロ沖合いに向かう間、とても綺麗な海を眺めながら話を伺いました。「この時季まではオスが獲れるんよ。7月頃から10月中頃までがオスで、メスは10月中頃から12月頃までが旬やな。旬の時が一番美味しいで」。

沖合いに刺し網を仕掛けたのは、朝3時頃。引き上げた網には体長20cm前後の緑灰色に光る岬ガザミがかかっていました。「こん広い海のどこに、ガザミがおるか分からん。経験と勘で網を仕掛ける。引き上げたとき豊漁だと、言葉に表わせんくらい嬉しい。」と松原さんは網にかかったガザミを見て微笑みました。

食べ方を豊後高田市役所商工観光課の中村主任に尋ねました。「茹でガニ、蒸しガニ、焼きガニとありますが、塩茹でするのが一番簡単で美味しく食べられます。ガザミは味が繊細で上品な甘みをもっている美味しいカニで、胸の肉(脚の付け根の肉)を主に食べますが、オスは夏が、メスは甲羅の中に卵巣(内子)が詰まる冬が美味しい時季です。特に冬のメスは身が美味しいだけでなく、カニミソや内子も一緒に楽しめます。まず、甲羅を外して甲羅の裏についたミソと内子を味わい、次ぎに、胸の肉にむしゃぶりつくのが最高です」とのこと。伺うほどに、食べたくなりました。

<伝承料理研究家の金丸佐佑子さんのガザミのお話>

ガザミが旬を迎え、益々美味しくなりました。
自他共に認める「蟹好き人間」小泉武夫先生(東京農業大学教授)ご一行が近々私共のところへお寄りくださるとのこと、早速蟹料理でお迎えします。この行事は10年近く続いているのですが、最近はワイワイ賑やかに料理する蟹料理へと変化しています。
茹でる、蒸す、焼くが私の定番料理でしたが、ご一行の皆さんに教わり、いろんな新しい料理法が加わりました。関東風、或いは江戸前、ご一行流ともいうのでしょうか。さらに、遊び心も加わって、蟹を食べる儀式まであるのです。大分の料理法、大分の食べ方しか知らない私に、楽しいだけでなく、学ぶことの多いひと時をガザミがとりもってくれています。
皆さん、「大分大好き」とおしゃいますが、その最大の理由は、大分のガザミかもしれません。
銀座「坐来」のガザミ料理はどんな味、どんな流儀になるのでしょう。興味津々です。きっと「大分大好き」ファンが沢山できるのでしょうね。

銀座の坐来大分では、10月20日から31日まで「昭和の町」豊後高田フェアを開催しており、岬ガザミを使用した料理が楽しめます。
是非、お立ち寄りください。

総合監修 金丸佐佑子(平成20年10月)

■香々地(かかぢ)の新波戸港(しんばとこう)の朝

■松原正隆さんと愛船「漁福丸」

■獲れたての岬ガザミ

■坐来大分の岬ガザミ料理

■富貴寺(ふきじ)
平安時代に開かれた寺院で、現存する九州最古の木造建築として国宝に指定。

■熊野麿崖仏(くまのまがいぶつ)
鬼が一夜で築いたとされる乱積みの石段を登った先に、高さ8mにもなる不動明王と6.8mの大日如来が姿を現す。いずれの麿崖仏も国指定の重要文化財。

■真玉海岸(またまかいがん)の夕陽
日本夕陽百選に選ばれている夕陽。
遠浅の海岸にできる干潟の縞模様と夕陽のコントラストが最高に美しい夕暮れを演出し、多くの写真家が訪れる人気スポット。

■昭和の町
昭和30年代をテーマに、当時の店舗の外観を再現した肉屋や魚屋、駄菓子屋、薬屋などの「昭和の店」が立ち並ぶ。

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