大分SHOKUトップページへ

大分SHOKUトップページへ

大分|食|大分の食物

大分市

水耕(すいこう)セリ

Vol.40
 セリは多年草で湿地や水辺に自生する春の七草の1つで、別名、「白根草(しろねぐさ)」と呼ばれ、成長すると白い花を咲かせます。万病を防ぐ薬効があると言われ、鍋物をはじめ、おひたしや和え物などに利用される緑黄野菜です。

 店頭で見かけるセリは、自生のセリや土耕栽培のセリが一般的ですが、大分市内で生産が拡大しつつある水耕セリの栽培に取り組む「JAおおいた大分市地域本部水耕セリ部会」の杉崎竜也(すぎさきたつや)さんにお話しを伺いました。

 杉崎さんが、サラリーマン生活に区切りをつけ、水耕栽培を手掛けたのは3年前。セリなどの農作物を取り扱う園芸会社に勤務していた折、水耕セリのリース農園借り手募集を見て、自分で手掛けてみたいとの思いからでした。

 発芽すれば、自生するセリの香や味と差のないセリを短い周期で収穫できるものの、水耕セリの発芽率は低く、計画的な栽培が難しいと言われる中での取組であったため、うまく生育させることができず、水耕セリ部会の諸先輩の指導を受けながら、試行錯誤する毎日でした。

 現在では、冬場で60日、夏場には30日程で出荷できる安定した生産技術を確立しています。

 水耕セリの選び方のポイントは、葉や茎の色が鮮やかで、茎は少し太めの物が歯応えや香が良いとのこと。また、水耕セリはアクが少ないことから、しゃきしゃき感と口の中に広がるさわやかな香を楽しめるサラダか焼肉に挟むのがいいよと簡単料理法を薦めてくれました。

 部会員の方々と水耕セリの栽培に情熱を燃やす杉崎さんは「消費者の皆さんに、安全・安心なセリを周年で届けて、水耕セリの知名度を高めていきたい」と最後に話してくれました。

 坐来大分では、4月14日からの新メニューに、杉崎さん達水耕セリ部会員一同が真心を込めて栽培した水耕セリの和え物をご用意しています。


 〈伝承料理研究家 金丸佐佑子さんのお話〉

 五十年前、我家の周りには沢山の田圃がありました。春になると芹や土筆が出来、春の食卓を彩ったものです。「芹ごはん」「お浸し」「白和え」「天麩羅」等々。私は母の作るこれらの料理が全て嫌いでした。その理由は子ども向きの味ではなかったこと。更に、田圃の畔道から調達してくる食材なんて貧しさの象徴のように思えたからです。

 終戦を引きずっていた貧しい食事が経済の復興によって様変わりし、毎日がカタカナ料理や世界中から集めてきた珍しい食材の料理になりました。されども、追求され続ける美味しさに私たちは少し飽きたのでしょうか。メディアも野菜や山菜、田舎の料理や昔から伝えられてきた料理や食材を取り上げるようになりました。

 私も気付いたら、それらに影響されたわけでもありませんが、年令のせいもあってか「芹の白和え」が大好物になっていたのです。今では、芹の季節には必ず作る定番料理になっています。唯、五十年前と異なっていることは芹は畔で摘むものではなく、お店で買うものになったこと。「白和え」の和え衣が今風に変化したことの二つがあります。母の作る豆腐、胡麻、味噌に加えて、マヨネーズやクリームチーズ、落花生等々。若い人の知恵です。

 私の実践している「伝承料理」は昔の料理を懐古するだけではなく、先人の知恵と今の知恵を融合させて次世代に伝承させたいと思っていますから、「白和え」はまさにその典型といえます。先日、知人から芹が届きました。早速、「白和え」を作って、皆さんに振る舞いましたら、又、新しい知恵をいただきました。次回の「白和え」にはその知恵を盛り込むつもりです。

 総合監修 生活工房゛とうがらし˝金丸佐佑子(平成22年4月)

水耕セリの普及に情熱を燃やす杉崎さん

ハウスの中で水耕栽培を行う

草丈が30cm位になると出荷

新メニュー(峰芹と粟嶋ひじき白和え)

上へ戻る
食バックナンバーへ