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中津市

錦雲豚(きんうんとん)

Vol.47
 今回は中津市耶馬溪(やばけい)の大自然の中でお米をブレンドしたオリジナル穀物飼料を食べてのびのびと育った健康豚「錦雲豚(きんうんとん)」をご紹介します。

 錦雲豚の里でもある中津市は、福岡県との県境に位置し、江戸時代後期に断崖絶壁にノミと槌だけで30年かけて掘り抜いたとされる「青の洞門」、日本で唯一の8連石造アーチ橋「耶馬渓橋」、福澤諭吉旧居、中津城などの文化財や歴史的建造物のほか、新日本三景の一つに選ばれた名勝耶馬溪など観光資源にも恵まれた地域です。

 「錦雲豚」を飼育している有限会社福田農園は、耶馬日田英彦山国定公園の広大な緑あふれる大地にあり、年間約2万頭を出荷しています。

 「錦雲豚」の特徴を福田実 社長に伺ったところ、安定した肉質を供給するために穀物飼料にとことんこだわり、衛生管理を徹底することで、良品質で高級豚肉として皆様から高い評価をいただいているそうです。

 まず、飼料は肉質を決める大事な要素であり、品質管理が徹底されています。平成20年に導入したリキッドフィーディング(液状飼料)システムを活用して、学校給食で未使用となった米飯と飼料米を計15%、焼酎を蒸留した後の焼酎粕、そして成長段階に適したペレット状の指定配合飼料をブレンドした餌を与えることで、さらに肉質が向上したそうです。
 ・米により、肉質がきめ細かく柔らかくなり赤身部分に上質な脂肪が適度に含まれる。
 ・焼酎粕により、臭みがなくなりうま味を左右する脂身があっさりとし、うまみと甘みが出る。
 ・指定配合飼料により、豚の消化吸収率を向上させ健康な豚に育つ。

 これらがブレンドされた液状飼料は、パイプラインを通じて自動で給餌が行われるため、豚舎内に粉じんがたたず豚の呼吸器疾患がなくなり臭気の減少にも高い効果があり、豚や作業員の健康にもやさしいシステムです。さらに、未使用の資源を有効活用することで地球環境にも配慮しているそうです。

 また、衛生管理面は安全・安心な豚肉を供給する上で欠かせない要素です。このため、外部から農場に病原菌を持ち込まないよう車両は徹底的に消毒されています。また、福田社長自らヨーロッパやアメリカなどの豚舎を視察し、より高い衛生レベルを実現するためウインドレス豚舎(窓なし)にして外部からの野生動物の進入防止や病原菌をシャットアウトできる構造になっています。さらに、豚舎に入る前は風呂で体を洗い清潔な作業服を着用して作業を行うなど徹底されています。こうした取組に加え、豚の健康状態を獣医師が定期的にチェックするなど万全を期しているそうです。
 また、豚にストレスを与えず健康に飼育できるよう空調システム(換気・湿度・温度)、照明を自動管理するとともに、豚舎内の豚を区画毎にオールインオールアウトさせて、洗浄・消毒・乾燥を行うなど、高水準の衛生管理のもとで高い生産性を目指しています。

福田社長は、「今後も畜産事業を通じて広く社会貢献することそして、消費者皆様の食生活における健康やお子様の健全な発育を願い、安全性が高く、質の高い錦雲豚を供給するため、従業員と一丸となって全力を注ぎたい。」と力強く話してくださいました。

福田社長を始め従業員の皆さんが一頭一頭に真心込めて飼育した「錦雲豚」を、是非坐来大分でご堪能ください。

 ■有限会社 福田農園
  〒871-0422
 中津市耶馬溪町深耶馬1523番地
   TEL:0979-55-2562 


〈伝承料理研究家 金丸佐佑子さんのお話〉

 私事ですが高校の家庭科教員として三十八年間、県内を転々と致しました。定年退職前の十一年間は大分県立中津北高校、その後は同じく中津市内の東九州短期大学に七年、通算十八年間、そして現在も中津にかかわっています。

 隣町宇佐市に住む私から見て中津市は非常に魅力的な街です。地方都市とはいえ元城下町。伝統的な建造物や祭り職人の技術が今も残っています。前野良沢等が開いた近代医学への扉は先進の精神として、福沢諭吉の実学の精神も独特のアカデミックな雰囲気として中津人に残っています。

 一地方都市なのに短大や工科大学校への支援はそれを証明。近代産業の代表格隣県の北九州市の長所・短所を身近かに眺められたことも幸運でした。そして止めは「青の洞門」で有名な耶馬溪の大自然に恵まれたことです。

 華々しくもないメジャーでもない大都市でもない田舎でもない普通の街。今日ではそれが珍しいバランスのとれた街。
 長年の教員生活の中で沢山の生徒、学生、卒業生を見て来ました。個人では見えない地域性が集団になるとよく見えるのです。中津に育った中津人は分析に値するものがあります。

 今回は豚肉のお話をするつもりでしたのに、前置きが長くなりました。前述のような中津に育った豚肉はどんな味なのでしょう。先日、錦雲豚を出すレストランで伺った話です。毎月、来店して決まった席で決まった料理を食べるお客様があるとのこと、錦雲豚が美味しいことは勿論、耶馬溪の風景が素晴らしいことも足を運ぶ理由でしょうがそれだけでしょうか。

 美味しいものが溢れている今日、求められている美味しさとは。
 中津の風土が中津人を育て、中津人が中津豚を育てる。そしてそれを応援する地域、これら全てが食へのこだわりの哲学だと思うのです。前述の彼に伺いたい「理由は何ですか」彼は何と答えるでしょうね。私は錦雲豚を食べる時、いつも食の哲学を思うのです。
 ちなみに錦雲豚命名の由来は、耶馬溪の錦雲峡にあるそうです。

総合監修 生活工房゛とうがらし˝金丸佐佑子(平成23年7月)

錦雲豚

福田実 社長(手前右側)と従業員

福田農園の外観

ウェインドレス豚舎

豚舎内

青の洞門

耶馬溪橋

中津城

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