大分SHOKUトップページへ

[食 Vol.61] 国東市 / 乾しいたけ

大分SHOKUトップページへ

大分|食|大分の食物

国東市

乾しいたけ

Vol.61
 国東半島は、神仏混合の六郷満山文化が発展し、全国の石像仁王像の8割があるといわれ、多くの観光客が訪れる地域です。
 また、国東半島宇佐地域は、本年5月に、くぬぎ林とため池の保全が、素晴らしい農林水産循環に繋がっていることが評価され、世界農業遺産に認定されています。

 取材にお伺いした、乾しいたけ生産者の清原米蔵(きよはらよねぞう)さんのお話では、「国東半島は、雨が少なく古くから水の確保が困難な地域でした。このため、ため池を利用した稲作が行われ、周辺には1,200ものため池があります。また、稲作を補完するため周囲の山に豊富にあるクヌギを活用した、原木しいたけの栽培が盛んに行われてきました。クヌギは原木しいたけのホダ木に最適で、使い終わったホダ木は、腐敗してミネラル豊富な土へと還り、保水層を形成します。この保水層に雨水がたまり有機物や栄養塩を含んだ地下水となり、周囲のため池の水質浄化や農業用水の供給など、自然循環が古くから営まれています。
 今回の認定は、地域の取組が評価されたもので大変ありがたい。今後、乾しいたけ生産者を増やし、地域活性化を図って行きたい。」と笑顔でお話いただきました。

 清原さんは、クヌギ林20㏊、ホダ場3㏊を所有し、年間6トンの乾しいたけを栽培しています。栽培について伺うと、「しいたけ栽培は重労働で大変だけど、その分だけ収穫するときはワクワクする。栽培手順は、まず山林でしいたけ栽培に適した原木を伐採し、枝や葉を付けたまま乾燥させます。ある程度乾燥した原木を1m40cmに切り(玉切り)、しいたけ菌を植菌(駒打ち)し、山腹に2年間仮伏せした後、湿度の高い林内に移動(ホダ起こし)させ収穫が始まります。ホダ木の寿命は3〜5年程度で年々収穫量が減少していきますが、菌の偏りをなくするため年1回は、ホダ木の上下・内外の入替え(天地返し)を行い収穫量を確保します。収穫したしいたけは、24時間かけて自宅の乾燥庫で乾燥させます。良い乾しいたけは、ヒダの部分が鮮やかな山吹色で、そして全体に艶があるもの。長年の経験と勘を頼りに、乾燥の湿度・時間を見極めています。」と教えていただきました。取材した生産現場は急斜面で、原木の伐採、ホダ起こしなどの大変な作業をご夫婦でなされています。こうした取組がくぬぎ林とため池を守り、自然循環を促していることを痛感しました。これまで以上に感謝の気持ちで「乾しいたけ」をいただきたいと思います。

清原さんが、時間をかけて労を惜しまず愛情を込めて栽培した「乾しいたけ」を、ぜひ「坐来大分」でご堪能ください。

■国東市武蔵町吉広1933
  TEL:0978-69-0428


〈伝承料理研究家 金丸佐佑子さんのお話〉

 ダイヤモンドより椎茸が好きと広言する私です。大分県の椎茸を紹介する時は、
?小学館の出版する「食材図鑑」によると、椎茸栽培の発祥は大分県。
?干し椎茸生産量日本一は大分県。
?安心、安全、美味しいは当たり前。大分椎茸のトレーサビリティは完璧。
?椎茸の研究、指導を受け持つのは大分県農林水産研究指導センター、林業研究部きのこグループ。
?農業経済新聞社の本社は大分市にあり、「全国きのこ新聞」を通して大分の椎茸を全国発信。
?大相撲の優勝力士には大分県産の干し椎茸が贈られている。
?干し椎茸の薬効は改めて言うまでもないがビタミンDの母体であり、免疫機能を強化する。
この位はすらすらと説明できます。上京した際は築地の場外市場に出掛け、椎茸の買物と称して逆に大分椎茸の宣伝をしてくるのです。自称、大分椎茸推進応援勝手連動会長。(名刺はまだ印刷できていませんが)

 更に今年はビッグな項目?が加わりました。
?国際連合食糧農業機関(FAO)より認定された世界農業遺産の中にくぬ木林で栽培される椎茸も含まれたのです。世界的に認められたことは、勝手連の私としては、とても嬉しいニュース。ますます応援に熱が入りそうです。

 今回、椎茸の取材に同行致しました。整然と手入れされた広い広いホダ場を見た瞬間、鳥肌が立ち「スゴイ、スゴイ。」の連発。多少、料理法を知っているとか、知識があるとか、そんな次元ではないのです。先人の知恵、工夫、努力、情熱、それを連綿と続けてこられた生産者を始めとする関係者皆さんの熱意に頭が下がりました。改めて、大分県で生活すること、「坐来」にかかわれたことに感謝です。
 これからも多くの人が手を結んで大分県椎茸のすばらしさを発信しつづけましょうよ。

総合監修 生活工房゛とうがらし�・金丸佐佑子(平成25年12月)

乾しいたけ

乾しいたけ生産者の清原米蔵(きよはらよねぞう)さん

38年間二人三脚で乾しいたけ生産を行っている
清原さんご夫妻(中央・右側)
取材にお伺いした金丸佐佑子 さん(左側)

清原さんの地区で管理している「ため池」

ホダ場

天台宗別格本山 両子寺

五辻不動尊

文殊仙寺

上へ戻る
食バックナンバーへ