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臼杵市

カマガリ

Vol.67
     
 県の東南部に位置する臼杵市は、東は豊後水道に面しており、北を佐賀関半島、南を長目半島に囲まれた臼杵湾に沿って広がっています。国宝の臼杵石仏や醤油、味噌、酒などの醸造業で有名ですが、近年では臼杵城趾や二王座など城下町の町並みも臼杵の歴史と文化を発信する観光スポットとして脚光を浴びています。
 また、臼杵市は水産業も盛んです。臼杵の魚と言えば、フグやタチウオが有名ですが、今回は、「幻の魚」と言われている「カマガリ」を紹介します。

 瀬戸内海の潮流と太平洋からの黒潮がぶつかりあう豊後水道は、日本有数の好漁場です。豊後水道で漁獲される様々な魚の中でも、カマガリは臼杵市以外の地域ではあまり見られないため、臼杵市特産の魚となっています。
 カマガリは水深200〜300mの深海で獲れ、その外見に似つかわしくない美しい白身の魚で、どんな料理法でもその美味しさを最大限に活かすことができるクセのない味わいから、知る人ぞ知る名魚と言われています。
 名前の由来は「ご飯をカマ(釜)ごと借りて食べなくてはならないほど美味しい魚」ということから、カマガリと名付けられたそうです。標準和名はクログチといい、臼杵では昔からお祝い事にかかせない魚です。
 
 カマガリは、「ドウモン縄」と呼ばれる底はえ縄漁業の一種で漁獲されており、地元でカマガリ漁を営む平川一春(ひらかわ かずはる)さん(大分県漁業協同組合臼杵地区漁業運営委員長)は、「青魚はすぐに鮮度が落ちるので、輸送コスト等が割高となりますが、白身魚は青魚に比べて鮮度が落ちにくいのが特徴で、特にカマガリは3〜4日後に刺身で食べても美味しく食べられます。
 今年に入り行政機関等と連携してカマガリを積極的にPRした結果、12月から東京の有名日本料理店で使われるようになるなど、カマガリの魅力が皆さんに伝わっていることを実感しています。今後は首都圏や関西などで販路を拡大するとともに、大分県内でも浸透するよう努力していきたい。」と今後の展望を力強く語られました。

 カマガリを使った調理例としては、刺身やフライはもちろんですが、海鮮丼「カマガリ炙り丼」や加工品の「カマガリみりん干し」、「カマガリフィレ」などがあります。 また、カマガリのフライを挟んだフィッシュバーガー「カマガリバーガー」が開発され、県内で行われたフードイベントでも上位に入賞するなど、徐々に知名度が向上しています。

 さて、12月の坐来大分では、「うすきの心が息づくまち うすきフェア in GINZA」と題して、臼杵市の食材をメインにお届けしています。臼杵を極めた食材でつくる、いわば臼極(きゅうきょく)のメニューフェアです。(27日まで)
 今が旬の「臼杵ふぐ」、土づくりからこだわった有機野菜、大分県の代名詞とも言える「かぼす」などまさに臼杵づくしで皆さまをお待ちしております。
 是非、坐来大分でカマガリの名前の由来を確かめていただき、臼杵の食をゆったりとご堪能ください。
 

■大分県漁業協同組合 臼杵地区漁業運営委員長
 平川 一春 氏
 
(大分県漁協臼杵支店)
  臼杵市大字板知屋1257番地
  TEL:0972-63-1414


〈伝承料理研究家 金丸 佐佑子さんのお話〉

 満を持していよいよ「カマガリ」の銀座デビュー。長年、地元の人々に愛されてきた魚ですが、東京での評価はいかがでしょう。「カマガリ」を食べる東京人の顔を想像するとワクワクしてきます。私の中では「カマガリ(ぐち)」は美味しいけれど地味な地魚の一つです。刺身、てんぷら、フライ、すりみとごく当たり前の平凡な料理ばかり。この平凡がどんな非凡に変化するのか楽しみです。

 最近気づいたことですが、食材購入方法の変化です。大消費地の大型市場の競りは地方の小さな生産者に無縁でした。ところがデパ地下やスーパーの店頭では生産者の名前入りや顔写真付きの食材が並ぶようになりました。特に農産物は生産技術の進歩により、周年栽培が可能になり、一年中が旬という野菜が出るに至っては消費者の方が心配しはじめた結果でしょう。一年中、店頭に並ぶトマト、キュウリ、レタス、本来なら春が旬の苺が十二月が最盛期とか。やっぱり無理しているように私には思えるのですが。一流といわれる料理人さんが生産地を訪れ、生産者とふれあえる機会も多くなったと聞いています。「坐来大分」では開店以来、実施している当たり前のことです。調理をする人だけでなく「坐来」に関わる全ての人が生産者、生産地を訪れ語り合う。これも時代を先取りしています。素晴らしい。

 畜産物については地方都市名付の「豊後牛」「佐賀牛」「小倉牛」等、「松阪牛」「但馬牛」より興味をもたれ看板にしているとか。もちろん「坐来」の豊後牛もこの点の先駆者です。

 そして水産物。鮪、鰯、鰤、鯛、鮃、河豚、鰻等の高級ブランド品は養殖技術が確立され、珍しくなくなりました。人気の海老や蟹、鮭は輸入されます。となると美味しくて珍しい魚は・・・。小さな地方の漁港で少量水揚げされる地魚ということになります。かつては知名度も低く、少量しか水揚げされず欠品するというマイナス点が今やプラス点になってきたのです。インターネットを通して販売する業者も現れているとか。海岸部で生活している私にとって魚は本当に旬を教えてくれます。旬になると急に水揚げが増え、旬が終わると見事に姿を消す。地魚は実に律儀です。その時を逃すと来年の旬までお預け。そういうところが私にとってはたまらない魅力なのです。「カマガリ」はその代表格。地魚の銀座デビューは時代の先駆者としての意味合いもあります。「坐来」はその先駆者なのです。素晴らしい。

 総合監修
  生活工房゛とうがらし˝金丸佐佑子(平成26年12月)

カマガリ

カマガリ黄かぼす焼(12/1うすきフェアランチイベントメニューin坐来)

坐来大分でのうすきフェアランチイベント(12/1)の様子

平川 県漁協臼杵地区漁業運営委員長

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