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大分|食|大分の食物

由布市湯布院町塚原高原

湯布院チーズ

Vol.69
 由布院温泉で有名な湯布院地域の中心部から由布岳を挟んで北側にある塚原高原(標高約600〜700m)は奥湯布院とも呼ばれています。
 なだらかな丘陵が連なる塚原高原の広大な景色を見渡すと、一気に視界が拡がり、高原を彩る鮮やかなコントラストが目に飛び込んできます。

 今回は、湯布院の塚原高原で作られているチーズを紹介します。
 取材にお伺いした、Cook Hill Farm(クックヒルファーム)の上浦眞理(かみうら しんり)代表は、東京都出身で約20年間フレンチシェフとして活躍した経験を活かして2004年に塚原高原にチーズ工房を開業されました。

 上浦代表は、「安全で良質な乳製品を子供たちに届けたい」との思いから、美味しいチーズをつくるために、牛乳の美味しさを追求しています。低温殺菌された牛乳を使用し、風土の力を活かして約2年もの長い時間をかけて熟成させたチーズは、旨みが凝縮されたとても濃厚な味わいです。

 製品は由布院の有名温泉旅館や大分市内のデパートで販売しており、今後は販路拡大も視野に入れているとのこと。
 素材へのこだわりを追求した元料理人が提供する湯布院チーズは坐来大分で3月10日からのメニューで楽しんでいただけます。是非ご賞味ください。


■クックヒルファーム 
 上浦 眞理 氏

大分県由布市湯布院町塚原135
  TEL:0977-85-4220


〈伝承料理研究家 金丸 佐佑子さんのお話〉

 湯布院チーズの取材に同行致しました。テレビで見たことはありますが、チーズ作りの現場を見たことはありません。チーズ作りの設備、工程の勉強はもちろんのこと、生産者上浦さんの食へのこだわり、食の哲学に触れることができました。上浦さんとの感動的な出会いによって、私の長年の疑問もとけたのです。

 美味しいもの珍しいものに出会ったり、食べたりは本当にわくわくします。大学時代、料理のレパートリーを拡げたい、スキルアップしたいとの思いで有名デパートのレストランに二週間お手伝いをさせてもらいました。無給で頑張る私たち三人にコック長をはじめとする厨房の皆さんが、珍しくて美味しい食材や料理を振る舞ってくれました。
 今でも鮮烈に思い出す食品三つがあります。「ボンレスハム」「サラミソーセージ」「コカコーラ」です。田舎育ちの私にとって初めての食べ物でした。美味しい料理も沢山振る舞ってくれましたが、料理名が難しく思い出せません。明治生まれの亡き母は、物資の乏しい時代にもかかわらず、工夫して美味しい料理を作ってくれました。特にハレの日(お正月、お祭り、誕生日等)は美味しい料理ばかりでしたがそれは当たり前。レストランのカタカナ文字の食品や料理の様に鮮烈なものではありません。多分、外国産だから強烈な印象を残しているのだろうと長い間思い込んでいました。
 では、外国生まれのチーズやパンやクッキー等はなぜ鮮烈なデビューをしなかったのでしょう?それが私の長年の疑問符でした。四十年ほど前に食べたイタリアでの「ピザ」、スイスでの「チーズフォンデュ」、ドイツのチーズ店の「チーズいろいろ」。全て特別な感動はありませんでした。いつの間にか、私の生活の中では週一回は「チーズパン」を焼き、時折「チーズケーキ」や「グラタン」「ラザニア」「スパゲッティ」にチーズを使っています。

 今回、上浦さんとのお話の中で分かったことは私のチーズ体験のはじまりは大量生産の工場製品だったということです。上浦さんのチーズは子どもを育てるように慈しみ熟成させたもの。つまり作り手の思いが凝縮されているのです。メーカーの大量生産との違いがここにありました。「ボンレスハム」も「サラミソーセージ」も「コカコーラ」も大量生産品です。でも私たち三人のため食品を選び振る舞ってくれた厨房の皆さんの思いが背景にありました。私たちの喜ぶ顔を見るため選んでくれたのです。改めて五十年前の幸せに感謝。私の今の食への姿勢はここが原点であったように思います。

 「坐来大分」の料理にはいつもわくわくし感動します。県内の生産者を訪ね、こだわりやその食品に対する思いを伺い、それを東京に伝え、購入の段取りをする。厨房では最適なレシピを考え、最高の技術で調理し、ホールのスタッフはお客様にその経過を伝える。一つの料理を通して大分の食文化を心を込めて伝えたいとの思いが全員にあるのです。私もその片隅でささやかに応援しております。
 大分の食、大分の楽しさを更に伝えたいものです。

総合監修
  生活工房゛とうがらし˝金丸佐佑子(平成27年3月)
    

牛乳の低温殺菌装置

地下室のチーズ乾燥棚(毎日、一つずつ丁寧に表面の湿気を拭き取り、棚の中でチーズの位置を変えています。)

 乾燥棚のチーズ

 上浦代表と金丸佐佑子さん

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