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      									  別府市 
										 オオハシ・バンブー・ワークス | 
       									 Vol.11  | 
   									  
								 
								  大分県別府市は『温泉』の街として有名ですが、『竹細工』の街としてのもう一つの顔も持っています。 
 
  大分県唯一の国指定伝統的工芸品『別府竹細工』は、全国一の生産量を誇る県内の良質のマダケを主材料とし、竹ヒゴを「編む」という伝統的技法によって作られます。 
  近年は、竹製品の購入のために、アメリカからわざわざ別府市を毎年訪れるコレクターもいるほど、海外の竹工芸ギャラリーやコレクターから高い評価を受けています。 
  また、平成19年11月には、別府竹製品協同組合の竹工芸家4名からなる海外展開研究会が、イタリア・ミラノのギャラリーで展示会を開催し、多くの来場者を集めるなど、『別府竹細工』を世界にアピールしました。 
 
  この海外展開研究会の会長として、ミラノでの展示会に参加した若手竹工芸家・大橋重臣さんの工房『オオハシ・バンブー・ワークス』を訪ねました。 
 
  大橋さんは福岡県みやま市瀬高町の出身。大学で車や家電の工業デザインを学んでいましたが、「竹と和紙の照明」をテーマに卒業制作を行ったことをきっかけに竹工芸に興味を持ち、卒業後、別府市にある大分県竹工芸・訓練支援センターで2年間竹工芸を学びました。 
  修了後は別府市内の竹工芸家・早野久雄氏に師事し、6年間仕事をしながら伝統技術を学び、4年前に独立して現在に至っているそうです。 
 
  竹工芸の魅力について「竹工芸は材料の加工から最後の仕上げ工程まで全て自分で完結できることが面白いです。また、作品も小さなモノから大きなモノまでさまざまなスケールの作品制作が可能で、竹という素材が持つ可能性も面白いと思います。竹を『編む』という伝統技術は、金属など他のいろいろな現代の素材に応用できるのも魅力の一つです。」 
 
  「早野先生に6年間学んだことが大きな財産になりました。また、5年前にラスベガスのホテルのオブジェを制作する仕事を引き受けたことが仕事上での分岐点となりました。それまでは、篭や照明など作業場で出来る範囲の仕事だけしかしてこなかったのですが、ラスベガスの仕事をして、作品のスケールや作り方などの発想が自由になり、面白い仕事も受けるようになりました。」 
  ラスベガスでの仕事は、愛知万博や高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」のオブジェ制作にもつながったそうです。 
 
  今後については「今までにないやり方で、半分アートっぽい作品的なモノを作りたいと思っています。空間演出などにおいて、竹の特長を活かした面白い展開や応用など、多くの人に使われるモノやアイディアを提案していきたいです。」 
 
  その他、大橋さんには、現在別府が竹工芸の産地として抱えている課題や、若手職人を育成するためのあり方など、熱く語っていただきました。 
 
  また、大橋さんは、自らの仕事とは別に、平成18年3月、別府市や大分市で活動する若い竹職人4名からなる研究開発グループ『BAICA(バイカ)』を設立し、福岡市や大分市で展示会を行っています。 
 
  室町時代に行商用の籠を作って売り出したことが始まりといわれる伝統ある『別府竹細工』ですが、時代が変わっても、大橋さんのような多くの若手竹職人によって、伝統の技はしっかりと受け継がれています。 
 
●オオハシ・バンブー・ワークス 
  大分県別府市鶴見8−3 
   
 
 
(平成20年7月発行) 
								
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							お話を伺った大橋重臣さん。 
							 
							大橋さんが制作した一輪挿し(商品名『ころころ』)。 
							 
							ミラノでの展示会の様子(中央が大橋さん)。 
							 
							ミラノで現地の方と交流する大橋さん。 
							 
							大橋さんが制作した盛篭。 
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