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 江戸時代には、町中の魚屋の軒下にハモがずらりと並べられ、近郊の商人たちで大変賑わっていたといわれています。かつて値段の安い大衆魚であったハモは、中津の家庭では「ハモちり」にして食べるのが一般的でありました。 
 1990年頃から、市内の料理店などが地域を代表する食材としてハモ料理のPRを始め、県内外に「中津のハモ」が知られるようになりました。中津市でのハモの消費量が増加し、国東半島の杵築市や県南の佐伯市からもハモが集まるようになっています。 
 中津のハモ料理といえば、さっぱり味の「湯びき」や、まろやかな味わいの「刺身」の他、天ぷら、吸い物、茶碗蒸し、しゃぶしゃぶ、酢の物、ハモ寿司、ハモちり、すり流し、照焼きなど、驚くほどたくさんの種類があります。 
 昨年、坐来大分で開催した「中津ハモ食文化フェア」の際は、地元の調理師の方に東京に出向いていただき、スタッフに「骨切り」といわれる技術や、中津独特のハモ寿司などの実演と研修をしていただきました。約2週間に及ぶフェアの期間中、90本ものハモが提供され、深く上品な味わいの中津のハモが好評でした。 
 今年もハモの旬を迎えて、坐来大分では「鱧落とし」をお楽しみいただいています。 
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 ハモ料理の旬は夏だけですか。 
 豊前海で育った私にはハモ料理イコール夏ではありません。昔、近くの老漁師さんから「穴子、太刀魚、ハモ等長い魚は一年中美味しい。」と聞いたことがあります。春は新玉ねぎとの炊き合わせ、夏は大葉や茗荷をちらしたハモちらし、秋の運動会にはお重に必ず照焼が入っていましたし、冬は定番のハモちり。かつて大衆魚だったハモ料理は私の周りに一年中ありました。母の骨切りは上手ではありません。従って美味しいけれども骨が口に少々残る。私にとって骨切り上手になるのが長年の課題でした。数年前からハモの骨切り専用の包丁を求めて挑戦していますが熟練の技にはとうてい及ぶべくもありません。 
 財布が心細い時は骨切りに自前で挑戦、少し余裕がある時は魚屋で骨切り済みのものを求める、ぜいたく出来る時は料理店、ハモは三通りの楽しみ方が出来るのです。とにもかくにも、ハモはやっぱり美味しい。大衆魚が高級魚に変化していった由縁はこの辺にあったのでしょうね。 
 
     総合監修 金丸佐佑子(平成19年7月) 
 
 
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							中津のハモは「つの字」が特徴 
大きく立派な1〜1.5kg級が中津の標準サイズ 
 
							 
							中津のハモの研修風景 
							 
							坐来大分での中津のハモのPR 
							 
							坐来大分のメニュー「鱧落とし」 
							 
							中津のハモ料理 
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