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[食 Vol.30] −竹田市・臼杵市ほか− / 大分かぼす」

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−竹田市・臼杵市ほか−

大分かぼす

Vol.30
今回は、大分の代表的な特産品、「大分かぼす(註1)」をご紹介します。
大分県では竹田市、臼杵市を中心に県内各地でカボスが栽培されており、全国の98%を占める日本一の生産地です。
銘柄は「大分かぼす」と統一され、ハウスカボス、露地カボス、貯蔵カボスと一年中みずみずしいグリーンカボスとして首都圏や関西をはじめ、各地に出荷されています。  
カボスの旬は、まさに今。8月8日には、「旬入り宣言」が出されました。

カボスづくりに情熱を注がれている大分県カボス生産者協議会の会長 河野泰三(61歳)さんを訪ねました。
 
河野さんの自宅は祖母傾(そぼかたむき)山系を一望できる竹田市城原(きばる)にあります。今、露地もののカボスの収穫が行われています。
河野さんは、昭和48年に米の減反を契機に、カボス栽培を始めたそうです。河野さんは当時を振り返って、「カボスは昭和30年代には食酢や薬用として、どこの家でも庭先に植えられていた。昭和40年代に入り、本格的に農作物として栽培されるようになったが、最初は栽培技術が確立されていなかった。同じ柑橘のミカンに準じて、手探りで始めたが、ミカンとカボスではかなり異なり、手探りで経験を積んで栽培技術を習得するしかなかった。」とご苦労された様子を語ってくれました。

また、カボスに対する思いについて、「カボス栽培は、一つひとつの実に陽があたるよう、何千何万という葉を手で取り除くという気の遠くなる作業を根気よくこなしていくことが必要。今やカボスは大分が誇るブランド。もちろん安全面でも妥協していない。安心してカボスのすべてを味わって欲しい。」と熱く語ってくれました。そこには、カボスに対する愛情が溢れ、生産者としての誇りが強く感じられました。

<伝承料理研究家の金丸佐佑子さんのカボスのお話>

友人は言います、「酢餅(註2)やナマコは橙酢に限る」「シメ魚は柚子酢が一番」「鰹のたたきはレモンとニンニクが私好み」と。友人のように料理に合わせた好みやウンチクを長々と語る人もいます。
私は言います、「私のまわりは柚子、橙、スダチ、レモン、そして大分自慢のカボスと、沢山の柑橘系の酢に恵まれていますが、私はもっぱらカボス。不思議とカボスはどんな料理にも合うのです。カボスがあれば、全ての料理がOK、超美味になると思いませんか?」と。

先日、90歳近いお婆ちゃんにお会いした折、その元気の秘訣がカボスにあると伺いました。夕食の食卓には必ずカボス。汁物や焼き物にカボスをかけ、残りをドリンクにして飲むのだそうです。酢の健康法が最近マスコミに取り上げられていますが、お婆ちゃんはその先駆者。30年間続けているとのことでした。サプリ嫌いの私は、天然サプリとしてカボスを飲むことをお婆ちゃんを見習って目下実践しています。ストレートにカボスを飲む。酸っぱいけれど、元気が喉から入ってくる、そういう気分は抜群です。健康の秘訣は1日1個のカボスから。是非お試しください。

銀座の「坐来大分」では、料理の名脇役として、料理やデザートに登場します。
是非、お立ち寄りください。

(註1)カボスは通常カタカナの「カボス」と書きますが、銘柄は平成10年に「大分かぼす」と統一し、ひらがな書きとなっています。

(註2)つきたての餅におろし大根と酢醤油をかけた餅のことです。

総合監修 金丸佐佑子(平成20年8月)

河野さん宅からのロケーション
遠くに祖母傾山系を臨む

大分県カボス生産者協議会の会長 河野泰三(かわの よしみつ)さんと奥様の里見(さとみ)さん

たわわに実ったカボス

カボスの加工品

カボスの篭盛り

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