大分SHOKUトップページへ

[職 Vol.12] 九重町 / grow (後藤 文生)」

大分SHOKUトップページへ

大分|職|職人の技

九重町

grow (後藤 文生)

Vol.12
大分県の西部に位置する九重(ここのえ)町は、阿蘇くじゅう国立公園内にあり、豊かな自然と雄大な山々に恵まれた町です。春の新緑、秋の紅葉、冬の樹氷と、季節ごとの景色の変化が美しく、また、「九重九湯(ここのえきゅうとう)」と呼ばれる個性あふれる温泉が数多く点在しています。さらに、平成18年に開通した『九重“夢”大吊橋』は、長さ390m、高さ173mの大吊橋で、人道専用橋としてはいずれも日本一の規模を誇っており、昨年11月には累計の入場者数が400万人を突破するなど、県内有数の観光地となっています。

今回の『職』では、そんな大自然に包まれた九重町で木工クラフト製品を作っている若手作家・『grow』代表 後藤文生さんを紹介します。
後藤さんは現在工房を構えている九重町田野の出身で24歳。高校卒業後、愛知県の自動車・二輪の部品メーカーで約1年間勤務後、地元九重町に戻り、ふとしたきっかけから大分県由布市湯布院町の木工デザイナー時松辰夫さんを紹介してもらったそうです。(時松さんについては、『職』Vol.6でご紹介しました。一昨年の『第47回日本クラフト展』で最高賞に当たる日本クラフト大賞を受賞しています。)
元々ものづくりの世界に興味があった後藤さんは、時松さんの技術のすごさに感動し、時松さんが主宰する『アトリエときデザイン研究所』で2年間技術を学んだ後、平成18年に九重町で独立して現在に至っているそうです。

現在、後藤さんは、木製のスプーン、フォーク、へら、おたま、バターナイフ、箸置き、皿、また伝統の曲げわっぱなど、いろいろなアイテムを製作しています。工房のすぐ横にあるショップ(後藤さん自身が一年かけて倉庫を改装したそうです。)では、木目の美しさや素材の質感が生かされ、木の持つ優しさや温もりが感じられる素敵な商品がたくさん並んでいました。

『grow』という名前については、「普通なら捨てられてしまいそうな小さな材料でも、発想と技術により一手間を加え、道具として使うことにより「変化・成長」(=「grow」)し続けるものづくりをしたいとの想いから付けました。」
また、「物が溢れ、使い捨ての多い現代で、道具として使われるだけでなく、そっと置いて見た時に美しいと思えるものづくりをしたい。」と話していました。

後藤さんの商品は、九重町の工房横にあるショップで販売している他に、町内のリゾートホテルや福岡市のショップでも販売しているそうです。九重町では福岡からの観光客が多いこともあり、地元大分県のお客様よりも福岡県から買い求めに来るお客様が圧倒的に多いとのことです。とはいえ、現在はまだまだ経営的に厳しい状況とのことですが、「将来は自分の商品を海外でも販売してみたい。」と熱く語ってくれました。

今年初めて出展した「高岡2008クラフト展」では箸置きが見事入選を果たすなど、大分県の今後の木工クラフト業界を支えていく期待の若手作家として、さらなる活躍が期待されます。

『grow』(後藤文生)
大分県玖珠郡九重町田野1525-3
TEL・FAX 0973−73−3567

工房横のショップに並ぶ商品。

お話を伺った後藤文生さん。

木目の美しい商品。

お箸やへらもあります。

木製スプーン、フォーク。

いろいろなサイズのお皿。

木の温もりが感じられる商品。

上へ戻る
職バックナンバーへ