今回の『職』では、大分県では数少ない磁器の若手作家である阿南陶磁器工房代表 阿南維也さんを紹介します。
阿南さんは大分県豊後大野市朝地町の出身で現在36歳。東京の体育大学を卒業後、佐賀県の有田窯業大学で1年間絵付を学び、有田と宮崎県の窯元で6年間修業して、現在の自宅に窯を開きました。雑誌で偶然に有田窯業大学の記事を見付けて有田に行ったとのことで「もともと伝統工芸の職人になりたいという想いはありましたが、もし竹細工の記事を先に見付けていたら竹細工の職人の道に行ったかもしれません。」と話してくれました。
阿南さんは、自宅横の工房で皿、碗、鉢、カップ、花瓶など日常の生活に使う器を製作しています。自宅のギャラリーには、シンプルなデザインの美しい白の器が数多く展示されていました。「この3年くらいは白にこだわって製作しています。以前は絵付けのものを作っていましたが、一度やめてみたいと思ったのです。当時は自分自身が絵付の技術を楽しんで、使う側の視点に立っていなかったような気がします。白だけでも何種類もありますし、『多様な白』『魅力的な白』を追求していきたいと思っています。」
現在、阿南さんは大分、湯布院、福岡など九州各地で年3、4回個展を開催しています。また、商品は東京、福岡、佐賀、大分のショップなどで販売しているそうです。工房横の自宅でも商品を販売しており、個展に来たお客様や雑誌で阿南さんの記事を見た人などが、商品を求めて阿南さんの自宅を訪ねて来ることもあるとのことです。
今後の活動については「いずれは再び絵付けのものも作ってみたいと思っています。以前とは違う形で絵付けができそうな気がしており、独自の絵ができればと思っています。」「東京でもどこでもよいのですが、いろいろなところで展示会を開いていきたいです。」また、「まだ30歳台なので、いろいろなものに縛られずに、脳みそを柔らかく保ちながら(笑)、たまには思い切って作風を変えてみたいとも思っています。」と語っていただきました。
阿南さんは、平成13年に宮日総合美術展奨励賞を受賞の他、九州山口陶磁器展陶業時報社賞など受賞されています。今後ますますの活躍が期待されるとともに、阿南さんの作品がどのように進化していくのか興味深いところです。
『阿南陶磁器工房』(阿南維也)
大分県大分市野田5−1
TEL 097−549−7703
FAX 097−549−7700
携帯 090−4350−7520
(平成21年4月発行)
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鎬片口とぐい呑み(白)
お話を伺った阿南維也さん。(工房にて)
自宅のギャラリーに並ぶ商品。
鎬大鉢(白)
蓋付き片口(白・銀)
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